ファシリテーションを学ぶ(推薦の言葉1)

「本物」のファシリテーションを生で体験してほしい!

小松知己(沖縄協同病院 精神科医)

小松知己(沖縄協同病院 精神科医)

ワークショップに参加したときの様子

前々から気になっていたハワード・カツヨ先生のワークショップ。ようやくスケジュールがあい、参加することができた。

「百聞は一見にしかず」ならぬ「百読は一参にしかず」だった。

本を百回読むよりも、カツヨ先生のワークショップに出たほうが、絶対に身になる。メモを取らずに、その場で起きていることを全身で受けとめる方がいい。見て、聞いて、間合いを感じて、表情とジェスチャーを見ながら「これか!」とわかっていくのだ。

私は、精神療法オタクと言ってもいいくらい、内外の専門家によるたくさんのワークショップに出ているが、今回の収穫は本当に大きかった。

カウンセリングでも、動機づけ面接(MI)でも、ファシリテーションでも、スキルの基本は共通だ。さらに、テクニックだけ学んでも、効果が上がらない点も共通だ。そのスピリットは体験しなければわからない。
受けとめてもらった、包んでもらった、尊重された体験をして初めて、人に与えられる。その貴重な体験をカツヨ先生はグループの中でさせてくれる。

カツヨ先生のすごさは、とても高度な内容を非常にシンプルにかみくだいて、援助の専門家から企業や地域活動の人まで、どんな分野の人でも理解できるものにしているところにある。むずかしい専門用語は使わず、取り上げる例題も、ご近所の困りごとから多職種連携まで、幅広い。

カツヨ先生は自分が完璧だとは思っていないし、完璧にやろうとも思っていない。「お、これはまずい。私がしゃべりすぎた。やり方を変えよう」と、言ってのける。「どうする?」「どうしたい?」とフロアに聞く。完璧にやろうとせず自然体でいることで、こんなにうまくいくのか。驚きだった。

ぜひ本物を体験してほしい。カツヨ先生がお元気な今のうちに!