相談窓口で活かす

ハラスメント・暴力・支配のない関係へ

多くの女性たちのDV相談などを受け、「支配―被支配」に陥らない関係について考える中でTRUE COLORSと出会ったファシリテーター、波口恵美子がレポートします。

私はこれまで、自治体の相談室や民間の女性グループで、相談員としてさまざまな女性の悩みを聴いてきました。2014年にフリーとなり、個人事務所「プレイス波」を立ち上げて、身体と心のケアや人間関係をテーマに活動しています。

ハラスメントや暴力についての相談を多く受ける中で、「なぜ人は人を支配するのか」「支配されないためには何が大切なのか」「安心・安全な関係をどう作っていくのか」「被害からの回復を助けるものは?」などについて考えてきました。

そのような中で出会ったのがTRUE COLORS(TC)でした。

自分にダメ出ししないで

TCの講座を受けたことで、私は自分への焦点のあて方が変わりました。

かつては親からも学校でも「自分の欠点を自覚し、変えていく努力をすることが大切」と教えられてきましたが、なかなか自分を変えられませんでした。けれど、持って生まれた気質を変えようと努力するのは、自分で自分にダメ出しを続けているようなものです。

TCプログラムを通じて「私の強みは?」「私の好きなことは?」「私の嫌いなことは?」「私にとって大切なことは?」というふうに自分に意識を向けるようになって、そのひとつひとつが、これまでの私を支えてきた自分の力だ、と感じられるようになりました。

すると周囲との関係も変わってきました。
何を大切に人とつきあっていくのかが自分の中ではっきりしてきて、ずいぶんと楽になったのです。

相談者の中にある力は何か?

相談を受けるときの姿勢も変わりました。
たとえばDVの相談で、かつては言葉には出さなくても「暴力から早く逃げるべきだ」という正解のもとで相手の話を聴きがちでした。これは裏を返せば相手にとって「逃げられなかった自分は情けない」「長年耐えてきた日々は何だったのか」ということになりかねません。

今ではその人が、がんじがらめの中でどうやって生き延びてきたのか、その人の中にある力は何かに、私の意識が向くようになりました。 これまでの時間は決して無駄ではないこと、自分には耐えてがんばってきた力があることに気づけたとき、下を向いていた人の表情が変わるのです。
この力を、これからは自分自身のために使っていけばいいのだと――。

変化が生まれる場面

かつて、フェミニズム・カウンセリングなど同じ価値観を共有している仲間の間でも、「支配―被支配」の関係が生まれる事態に直面しました。
目的は一緒でも、具体的な物事を前にすると、ちょっとした感覚の違いや方法論の違いから、相手へのコントロールや力の乱用が起きるのです。

「人はそれぞれに違っている」ことを心から受け入れることができたら、人と人との関係はずっと安全なものになると思います。
自分を信頼することと、違いを受け入れること――TC講座をファシリテートする中でも、まさにその変化が生まれる場面に出会います。

今まで自分を「八方美人」と感じていた人が「人間関係を大事にするブルー」ととらえなおすことで目が輝いていく様子や、「別のカラーの人はこんなふうに感じているの?人って本当に違うのね!」と驚きつつ腑に落ちて、バランスのとれた関係性を探り始める様子が、目に見えてわかるのです。
多くの方にぜひTCを体験してもらいたいと思います。